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UD学習


1.ユニバーサルデザインとは

(1) ユニバーサルデザインとは
   ユニバーサルデザインとは、Universal〔普遍的な,万人(共通)の,万能の〕とDesign〔設計,構想,計画〕という2つの英単語が合わさったもので、訳すると「すべての人のためのデザイン」という意味です。そのアルファベットの頭文字を取ってUD(ユーディー)ともいいます。
UDでいう「すべての人のため」というのは、年齢、性別、国籍(言語)や能力の違い等に関係なく、デザインの前でみんなが公平に扱われるということを意図したものです。


(2) なぜ、学校教育にUD?
   UDでは、建物や製品が形づくられる過程において、また利用される状況において、いかに様々な人に思いを馳せられるかがポイントになります。そこには、自分以外の人のものの見方や考え方、利用方法などに至るまでの様々な「気づき」や意見を聴く姿勢が要求されます。
様々な人に思いを馳せること、自分以外の様々な意見を採り入れようとすること、−他の人とともに生きていくということは自分にとって何ができることなのか−そうした優しさの問いかけがUDの思想の中にはあります。子どもたち一人一人の個性や共生の心を育む学校教育において、このようなUDの考え方を取り入れていくことは重要です。

2.学校教育にユニバーサルデザインを取り入れるために

 使いやすいものやサービスを単に真似るのではなく、その置かれている状況を見つめたり、実際に利用する人の意見を聞いたりしながら物事を進めることの大切さを、子どもたち自らが身に付けていくようにしましょう。
 ここでは、ユニバーサルデザイン推進の原則と4つの視点についてご紹介いたします。

ユニバーサルデザイン推進の原則と4つの視点

3.県内のユニバーサルデザイン学習の現状

  県では平成14年10月、県内の小・中・高等学校及び特殊教育諸学校を対象に、ユニバーサルデザインに関する実践事例について調査しましたところ、約140件もの実践事例が集まりました。
今回集まった事例の多くは、総合的な学習の時間の「郷土をテーマにした学習」「福祉をテーマにした学習」の一環として行われているものでしたが、中には年間を通して、子どもたちの目で住んでいる町を見つめ直させようとするものや、教科の中にさりげなく取り入れたものなど、とてもユニークな取組みもありました。

4.主な実践事例

1)わたしたちの街を見つめ直そう!
 ■UDを探そう(熊本市立出水南小学校)
近隣にある大型スーパー等を探検し、まちのUDを発見する。

 ■ユニバーサルデザインと出会って(熊本市立大江小学校)
視覚障害者との交流を通じて学んだ日常生活の不便さを解消するため、「盲導犬入れます」というポスターを作成し、市内のお店に配布した。

 ■バリアフリーマップ作成 (免田町立免田中学校)
町内のバリアフリー調査を行い、マップを作成。調査で学んだ経験をもとに、校内にスロープを設置したり、UDシールの作成・配布等を行った。

 ■バーチャル市役所 ユニバーサルデザイン課(県立鹿本高等学校)
仮想市役所にユニバーサルデザイン課を設置し、市長の指示のもとUDの現状を調査したり、UDの推進方法等について研究した。

 ■人に優しい住まいの在り方(県立熊本高等学校)
住宅展示場を見学して、自分の家との違いやバリアフリーに対する配慮と工夫について学んだ。

(2)身の回りの製品から学ぶ
 ■すいちょる小国パート機幣国町立宮原小学校)
手話や点字の学習からUDまで、体系的に学んだ。

 ■食から、福祉からの国際理解(大津町立大津東小学校)
身の回りの様々な製品の開発エピソードから、UDの考え方を学んだ。


(3)UD製品を作ってみよう
 ■やさしさのデザイン(水俣市立久木野中学校)
「人や環境にやさしいデザイン」の考え方で製作された作品を鑑賞することによって、社会的な役割や人間にとってのデザインの意味について考察した。

 ■共生社会への参加(坂本村立坂本中学校)
アイマスク体験等を通じて学んだ日常生活の不便さをもとに、オリジナルのUD製品を考えた。


(4)その他
 ■出水小学校家庭教育学級とUDワークショップ(県建築課)
「ユニバーサルデザイン建築ガイドライン」を作成するにあたって、その参考とするため、出水小学校のPTAと連携し、UDワークショップを開催した。

 ■保護者会主催のタウンウォッチング(私立真和中学校保護者会)
保護者会主催の学年行事として、公共施設をUDの「簡単」「快適」「安全」「柔軟」の視点でチェックした。

5.よりよい実践のために(まとめ)

  子どもたちが身につける道徳の内容をわかりやすく表し、道徳的価値について自ら考えるきっかけとなるよう作られた「心のノート」を全ての小・中学校に配布しています。
 ●UDはプロセスが重要であることに気づかせる。製品、環境、サービス等の使いやすさは、デザインを生み出す過程、改善して行く過程(プロセス)に大きく左右される。
 ●住宅展示場の見学をする場合、自分達が住んでいる家と見比べてみて、共通する不都合さや快適さを見つけだしてみる。見つけだした不都合さを快適なものとするためには、どんなプロセス(検討過程)が必要か考えてみる。
 ●キャップ・ハンディ(疑似)体験を行う際には、重度の「障害」に加えて、妊娠や骨折、「眼鏡をかけている子どもであれば、それをつけなければ」等、より日常的な「不便さ」についても体験してみる。
 ●介護体験をする際に、介護を受ける側にとって快適かどうか、快適にするためにはどうしたらいいか、介護を受けた本人もしくは福祉施設の職員から聞き取り調査等を行い、フィードバックしてみる。また、介護する側にとって介護しやすいようにするためにはどうしたらいいのかについても併せて考えてみる。
 ●自分たちでUD製品を作る際には、様々な利用者を想定して、利用者の意見を聴きながら作る。作った後も、様々な利用者から評価して改善を続けることが、UDを進めるうえで最も重要なこととなる。
 ●自分で作ったUD製品が、簡単・快適・安全・柔軟かどうか、子どもや大人いろいろな人に使ってもらって検証する。
 ●身の回りの製品を実際に使ってみて、使い勝手について検証してみる(例えば、80%の力(利き腕ではない手)でこの瓶のふたは開くのか、片手であけられるか等)。
   
 UDは、"一人一人の個性やニーズを尊重し、すべての人のために"という視点に立っており、子どもたち一人一人の個性や共生の心をはぐくむ学校教育においても、この視点は大切です。UDをテーマとした授業等を通して、子どもたちが学校の建物や普段使っている道具をUDの視点から見直し、互いに思いやる気持ちを養うことで、子どもたちの「心のUD化」を図ることができます。これからも、UDをテーマとした授業がさらに学校教育に広がり、子どもたちが豊かな人間性を身につけ、共に優しく住みよい社会を担っていく人間として育っていくことを願っています。



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